インタビュー:ベンチャー稲門会員 株式会社パプレア 代表取締役 峰崎 社長
ゼクシィをはじめとした結婚情報サイトの一括管理を可能にするクラウドシステム「パッとブライダル」を提供する株式会社パプレア。
同社の代表取締役でベンチャー稲門会会員でもある峰崎 揚右 氏にインタビューを行いました。
株式会社パプレア
代表取締役
峰崎 揚右 氏
エンジニアからウェブマーケティング、営業と幅広く業務を経験したのち、複数のベンチャー企業にて、ゼロから上場に至るまでの新規事業立ち上げを経験。その後、上場企業の取締役経営企画室長として経営についても経験を積み、2016年に独立し株式会社パプレアを立ち上げ。業界に特化した業務改善や売上アップに繋がるシステムを提供し、『働く人の笑顔を創出すること』を目標に活動している。現在は、ブライダル業界向け『パッとブライダル』を展開し、業務効率化により数百の婚礼式場で働く人の笑顔を創り出している。今後も別業界もしくは業種に特化したサービスを生み出すことを計画し、日々邁進している。
◎事業内容を教えてください
現在は、二つのサービスを展開しています。一つ目は「パッとブライダル」というサービスです。
これは結婚式場向けのサービスで、業務の効率化と売上アップに貢献することができる情報一元管理およびMAツールです。結婚式場はゼクシィやウエディングパーク、みんなのウエディング、Hanayume等の媒体に広告を出稿して顧客を獲得しているのですが、ゼクシィにはゼクシィの管理画面があって、その他の媒体にもそれぞれの管理画面があります。新婚夫婦は結婚しようと思うと気になる結婚式場の週末のブライダルフェアの情報を見て、参加登録をします。

一方の結婚式場は、新郎新婦に来館いただき契約を取るために、媒体へブライダルフェアの情報を定期的にアップします。これが非常に面倒で、各媒体ごとの管理画面にログインして情報を更新するのですが、基本的には同じ情報をアップするため単純作業の繰り返しとなります。また、新郎新婦からフェア予約が入ってきたらその予約情報をその管理画面からコピペして、自社のシステムなりエクセルに貼り付けて管理するという作業をしているのですが、その作業に非常に手間がかかるんです。同じブライダルフェアの情報を、例えば5媒体に広告を出していたら、5媒体それぞれの管理画面に同じ情報を入力しなければいけません。
それでは時間がもったいないでしょう。それを一元管理してしまおうというのが「パッとブライダル」というサービスです。まずはそのフェアとかの情報の一元管理をして、予約が入ってきたら新郎新婦の顧客情報の一元管理をします。そして、さらに新郎新婦に対して成約しやすいような仕組みを提供しています。従来は予約が入ってきたら、ウエディングプランナーが電話して、「何月何日ですね、ありがとうございます」と伝えてから式場に「今どんな状況ですか」という確認をしていたのですが、コミュニケーションコストが高いのです。それを全部システムでやってしまおうということで、新郎新婦が申し込んだフェアから、属性を判定して「この人はおそらく『食』に興味がある人だろう」とわかると「食」に関するメールを配信します。

さらにフェアに申し込んでもらってから来館するまでに式場での結婚式をイメージさせるHTMLメールを送ることによって、接触頻度を上げて期待感を高めていくんです。そうするとキャンセルの防止と成約率のアップが期待できます。まとめると、媒体で掲載してから成約するまでの間のサポートができるシステムが全部このシステムの中に詰まっているということです。ニューオータニさん、リッツカールトンさん、プリンスホテルさん等名だたるお客様に導入していただいて全国350会場ぐらいがクライアントになっています。これが一つ目のビジネスです。
もう一つ、ビズエニーという事業をやっています。business anywhereの略です。このサービスでは、どこにいても同じように仕事ができる働き方の提案をしています。
私は、新卒で日本オラクルっていう企業に入ってその後ベンチャー4社に就職してその後独立したのですが、様々な職場を経て感じていたことがいくつかありました。その一つに、結果を出す人は、タスク管理がうまいということです。朝会社に行った瞬間にもうスタートダッシュできるという仕事のやり方になっているんですね。
反対に、仕事ができない人は、朝来て「何やろうかな」と考え始めます。そうするとものすごく効率が悪いですよね。タスク管理をシステム化しておけば、効率が良くなるよなということはまず一つ目の感じていたことであり、もう一つ、実はこのサービスはコロナ前から作っていたんですが、オフィスに行かなくても良い働き方の時代が来るだろうと思っていたんです。当社のCTOが「夏は北海道で冬は沖縄で働きたい」と発言してから、どこにいてもメンバーが100%以上の力を発揮できるような仕組みを作りたいと思うようになりました。また、リモートワークでの問題点としては、部下の業務の見える化とアドバイスや承認という作業が手薄になります。であれば、タスク管理も利用しつつ業務の見える化ができ、日報管理でマネージャーからスタッフへの的確なアドバイスや承認ができることで、どこにいても業務が回る仕組みが構築できると考えました。
そうして生まれた、在席管理(バーチャルオフィス)、タスク管理、日報管理、勤怠管理の4つが視覚化できるリモートワークのツールがビズエニーです。
◎創業の経緯を教えてください

パッとブライダルは、前職が冠婚葬祭を行っている会社に在籍していたこともあり、ウェディングプランナーの課題を感じており、システム化することで業務改善できると考えていたのでそれを仕組み化したものです。ちょっと大きな会社になるとマーケティング専門の部署がありますが、ほとんどは式場の現場にいるウェディングプランナーが、自分でブライダルフェアの情報を各媒体にアップして、予約入ってきたら自分で新郎新婦に話をして、成約獲得して…ということを全てやってます。
要するにすごく大変なんです。深夜残業が続くだけでなく、週末や祝祭日は当然休めず一番忙しい日となります。
それなのにウェディングプランナーの年収は300万円いかない方も多いんですよ。「新郎新婦の笑顔が嬉しいから」と一生懸命仕事している、本当に真面目な方々なんですよね。その方々を救ってあげたいという思いがあって、このサービスを作りました。当時から「システム化すればプランナーは楽になるだろうな」と思っていたので、独立してサービスを作ったことで、今では式場にとってなくてはならないサービスになっていると自負しています。

ただ、当初は起業するに当たって僕がなかなか煮え切らなかったんですよ。小さい頃から、経営者の父親から「サラリーマンはつまらないからお前は自分で会社をやりなさい」と言われながら育てられてきたため、いつかはやらなきゃいけないという思いはあったものの、1人でゼロから立ち上げるというのは怖かったんです。それなりに給料とってきた中で、ゼロになってしまうことが怖かったんですよね。今ほどVCとかがお金を出してくれるようか状況ではなかったですし、そういう世界を知っていたわけでもなかったんです。
最後に背中を押したのは実は奥さんでした。「自分でやった方が成功しますよ」「失敗なんかするわけないでしょ」って言ってくれたんです。「だよね」って言って、すぐに起業しました。何も決めずに会社を辞めました。辞めたと言うとすぐ「手伝ってくれ」と声がかかり始めました。だから最初はコンサルだけで生計を立てていました。ブライダルのシステムを構築するには、お金も時間もかかりますからね。でも、真面目にやっててよかったなと思いましたね。自分にもできると確信してから、サービスをきちんと作ろうということで、コンサルしながらパッとブライダルを構築開始しました。サービスリリースまで約2年かかりました。
ビズエニーを始めたきっかけは、日本人はどんどん労働者人口減っていくし、働き方を変えないといけないと思ってましたし、自分もハワイで仕事したいなと思っていたというのもあります。ただのリモートワーカー向けのツールではなくて、先程申し上げたように在席管理(バーチャルオフィス)、タスク管理、日報管理、勤怠管理もできるようにしていて、今後は、評価機能も実装しようとしており、OKRや目標に対してタスクを紐づけていくことだったり、成果の内容も登録できるようにするように実装していきます。その後もどんどん機能を拡張していこうと考えています。
◎これからの展望を教えてください

上場企業3社に出資をしていただいた際に、3つの事業の柱を考えていると言って資金を募ったんです。
なぜかというと結婚式場はすごくニッチな世界で市場としては小さいからです。対象となる式場は、大手のゼクシィに登録している式場でも1500会場ぐらいしかないんです。それらの式場を全て顧客にしても数十億の価値にはならないんですよ。数億にしかなんない。したがって、これは数億のビジネスであると最初から割り切って次のビジネスとしてはHR業界に目をつけたんです。
HRはアンリミットで顧客は業界に偏りませんよね。だからビズエニーを成功させて、3つ目の事業としてもう一つ立ち上げる予定なんです。
ただ、今は幸運なことに、リモートワークが当たり前の世界なってきたのでビズエニーで日本人の働き方を効率化して「ビズエニーがなきゃ仕事できないね」というようなところまで何とか持っていきたいなっていうのが直近で考えていることですね。
ちょっと話は変わりますが、将来的にはやはり恩返しをしたいと考えているんです。もっと若い子たちに何かビジネスを提供していきたいんです。
アイディアをビジネスにするところのお手伝いをしてあげたい。もちろん自分でも事業をやりながら、です。既に練馬区で今、起業家に対して講師をやっているのですが、当時の僕みたいに悩んでいて、一歩進めない、歩み出せない人が結構いるんです。
背中を押してあげつつ、しっかりサポートしてあげたい。僕もそういう姿を見ていると頑張れるので、そんなお手伝いをしていきたいなと思っています。
◎早稲田での思い出はありますか?

モンブランスキークラブっていう11号館の地下に部室があるサークルに入っていました。今もうビルが建て直しされて、部室が文学部のキャンパスに移ったみたいですね。
当時は汚くって、すごかったんですよ(笑)地下に窓が一つもないわけですね。換気も悪いから臭いわけ。
そこでみんな、夜な夜な飲んでいました(笑)ものすごく汚い場所でアングラの中で暮らしてたみたいな生活をよく覚えています。
でも、トレーニングは一生懸命して、夏はもう本当に飲みまくって、冬は60日以上スキー場に行ってスキーして、ちゃんと活動はしてました。
1月の試験が終わったら、2月、3月はずっとスキー場に行きっぱなしみたいな感じでした。僕はインストラクターやってたから、合宿行ってコーチしてまた合宿いってみたいな生活の連続で、大会に出てその後飲みまくって。そんな思い出ですね。